コラム

 

漢方について

自己免疫疾患における漢方の役割

  1. 漢方薬西洋薬との併用で急性期抗炎症効果を高める。
  2. 西洋薬の副作用を漢方で防止する。
    食欲不振
    冷え
    全身倦怠感
    貧血・骨髄抑制など
  3. 慢性期、維持期には西洋薬は清熱解毒作用が強いので、なるべく漢方薬に変える。
  4. 慢性期に漢方を併用することにより体力低下を防ぎ、外界からの病邪を防止する。抵抗力をつけて体質改善を図る。

自己免疫疾患の定義

全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、慢性関節リウマチ、混合性結合織病などは、①炎症病変が全身の臓器にまたがって出現し、②背景になんらかの免疫異常が働いている疾患で自己免疫疾患(古典的、狭義)と呼ばれる。
アレルギーの発現機序は、4型に分類されるが、自己免疫疾患の際には主としてⅡ、Ⅲ型(Ⅳ型も含む)の炎症が同一個体の中で、時間、場所を変えて多様に出現してくる。
病態発生学的立場からは最近では種々の内分泌疾患、糖尿病、肝炎なども広く含めて自己免疫疾患の範疇に入れる(広義)。

自己免疫疾患の漢方療法

  1. 急性期
    清熱、清熱化湿、湿熱、湿痰、痺(風寒熱湿)
  2. 亜急性期
    清熱
    清熱+気虚(気陰両虚、気血両虚)
    湿熱
  3. 慢性期
    陰虚→気陰両虚
    気血両虚→陰陽両虚
    瘀血
    腎虚

寒熱往来型

風邪から移行するもので、最も多く、少陽病型ともいうことができる。柴胡剤の絶対適応である。多くは小柴胡湯加減を使う。
処方例…柴胡枳桔湯、柴梗半夏湯

肺陰虚型

乾咳が出るタイプ。
処方例…百合固金湯、麦門冬湯合半夏厚朴湯加キキョウ末

肺腎陰虚型

肺陰虚(乾咳など)に腎陰虚の症状であるのぼせ、手足のほてり、腰痛、盗汗などが加わったケース。腎陰虚により虚熱(虚火、相火ともいう)が上炎している。生地黄、知母、黄柏などで虚熱を冷ます必要がある。
処方例…滋陰降火湯

肺陰虚、肝気鬱結型

肺陰虚の他に気の滞り(肝気鬱結、肝鬱気滞という)があるタイプである。肝鬱は柴胡剤の適応でもあるので半表半裏型とも共通する。
処方例…滋陰至宝湯

肺熱型

外感裏熱型ともいう。咳嗽がはげしく、喀痰は黄色で粘稠、はなはだしい喘息様となる。口が渇き、汗が出る。暑がる。呼吸困難もある。
処方例…麻杏甘石湯、五虎湯

寒痰型、痰湿型

咳嗽、白色の薄い痰が多く、喘鳴があり、くしゃみ、鼻水、寒がりなどがあるタイプ。
処方例…小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯、二陳湯

気血両虚型

体が非常に弱り、気、血ともに虚して咳が続くタイプ。
処方例…人参養栄湯

肺熱、肺陰虚型

肺熱と肺陰虚の両方の症状があり、慢性の咳、切れにくい痰、痰の量は多い、痰が切れるまでは激しく咳きこむ、ほてり、のぼせ、イライラなどがある。不眠もあってよい。
処方例…清肺湯

痰熱、肝気鬱結型

肺熱、肺陰虚型とよく似るが、肺陰虚の症状はあまりなく、痰が多く粘稠で色は黄色あるいは白色、喀痰のために咳が出る、不眠が強いといった症状がある。
処方例…竹茹温胆湯

腎虚型

老人の咳嗽、喀痰、喘息様症状、腰痛など腎虚による呼吸器症状タイプ。
処方例…都気丸、八味丸、真武湯

自己免疫疾患に漢方を使用した症例

  • ステロイド抵抗性ネフローゼ
  • 潰瘍性大腸炎
  • 関節リウマチ
  • 尋常性乾癬
  • ベーチェット病
  • SAPHO症候群
  • Chung-Strauss 喘息+アレルギー性肉芽腫性血管炎
  • 抗リン脂質抗体症候群
  • 特発性間質性肺炎
  • SLE

膠原病・免疫疾患の動向と今後の課題

様々なサイトカインや接着分子の膠原病の病態への関与が解明されるにつれ、新たな治療法が試みられている。特に慢性関節リウマチに対して抗TNFα抗体や抗IL-6抗体、抗IL-レセプター抗体などの投与や、抗ICAM-1抗体などの生物製剤が、有効との報告がある。