コラム

 

質問

40歳の女性です。腹痛と肛門から出血があり、虚血性腸炎と言われました。どのような病気でしょうか?

回答

虚血性腸炎とは、大腸への血液の循環が悪くなり、必要な酸素や栄養分が供給されず腸管が虚血状態となり、大腸粘膜に浮腫、炎症や潰瘍などが生じてその粘膜が脱落することにより起こります。血流が減少する原因としては、もともと血管に動脈硬化があるところに、便秘による腸管内圧の上昇が加わるためと考えられています。症状としては、突然の激しい腹痛とともに、鮮血の混じった血便や下血が見られ大腸内視鏡で診断します。薬剤性腸炎、感染性腸炎、クローン病などとの鑑別が必要になります。大切なのは大腸がん(ポリープを含む)を見逃してはいけないということです。大腸がんは虚血性腸炎とともに2番目に多い疾患であります。
ただ症状が緩和されないで長期にガスがつまる狭窄型と、短期間のうちに腸が破れて腹膜炎を起こす壊死型は手術が必要です。治療としてはまずは安静にして、絶食、輸液などを行うことで大部分は症状が緩和されます。このように虚血性腸炎はまれに重症化することもあるので、できるだけ早く病院を受診し、大腸がんの鑑別と適切な治療を受けるようにしましょう。
大腸がん・大腸ポリープと虚血性腸炎の既往歴がある人は、年1回は大腸内視鏡検査で鑑別することをおすすめします。

※食生活に気をつけて4日以上便通がない場合は要注意!