コラム

 

質問

膵臓癌の症状は?早期発見の為には?

回答

膵臓(すい臓)は胃の後ろにある長さ15センチぐらいの臓器で、消化液を分泌する外分泌機能と、ホルモンを分泌する内分泌機能をもっています。そして食べた食物を消化し、ホルモンによって糖をエネルギーに変えるという2つの働きを調節する役割を担っています。

「膵臓がん」の多くは膵管に発生します。腫瘍経1センチ以下の症例では5年生存率が80%、2センチを超える場合は30~50%と報告されていますので、治療に際してはなにより早期発見が最重要です。とはいえ、膵臓はがんが発生しても小さいうちは症状が出にくく、無症状であることも多いため、早期の発見は簡単ではありません。

発生要因としては、血縁のある家族に膵臓がんになった人がいること、糖尿病や慢性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)にかかっていること、喫煙や飲酒、肥満などが膵臓がんを発生するリスクを高めることがわかっています。

膵臓がんが進行してくると、腹痛、食欲不振、腹部膨満感(おなかが張る感じ)、黄疸、腰や背中の痛みなどが起こりますので、それらの症状が思い当ったら、かかりつけの医師に相談をしましょう。

検査については、腹痛や食欲不振などの何らかの症状、膵臓がんの危険因子となる疾患の有無や、血液検査、超音波検査の結果などから膵臓がんが疑われる場合には、造影CT検査、腹部MRI検査、超音波内視鏡検査(EUS)などを行います。

これらによって診断が確定できなかった場合には、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などを実施し、可能な限り細胞や組織を採取して、病理検査が行われます。

膵臓がんを予防するためには、禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。特に、禁煙することが効果的であるともいわれています。

胃と大腸に異常がないのに食欲がなかったり、急に体重が2㎏以上減少するなど、気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをお勧めします。万一、膵臓がんが疑われた場合には、なるべく早めに精密検査などを行いましょう。