コラム

 

質問

84歳の男性です。体を動かすと肛門からいぼが出て痛いため、病院に行ったところ、直腸脱と診断されました。手術をしたいのですが、心房細動で抗凝固剤の薬・ワーファリンを服用しているため、医師に「手術時に出血するかもしれない」と言われ、心配です。

回答

高齢の方は、心房細動になりやすく、激しい半身麻酔などが起こる脳梗塞の発症率が高くなります。
心房細動でワーファリンを服用している方が直腸脱の手術をする場合、腰から下の腰椎麻酔ができません。その理由としては、麻酔の注射により出血してできる血腫(けっしゅ)で脊髄神経が圧迫され、下半身麻痺(まひ)になる可能性があるからです。
そのため、局所麻酔で手術を行います。手術当日だけワーファリンの服用を中止します。ワーファリンは1回の服用で、3~5日間は作用するため、脳梗塞の心配はありません。むしろ、手術に備えた空腹時にワーファリンを服用すると、血中濃度が数倍、上昇します。
 
もし、手術後に出血があっても、薬の服用をやめれば自然に出血はとまります。手術翌日からワーファリンを服用しても、出血することはありません。 詳しくは専門医へ。

*手術時にはワーファリンの服用を中止し、局所麻酔で手術をします

「リビングくらしき(2016.7.30)」より