コラム

 

質問

75歳の男性です。2日前からおなかが痛み、下痢をし、多量の出血がありました。再び出血し、下着とズボンが真っ赤に。いぼ痔も見つかりました。痔または大腸がんではと思い、病院で大腸カメラを受けると「大腸憩室症」との診断を受けました。これはどのような病気でしょうか。

回答

大腸憩室とは、大腸粘膜の一部が腸壁の外へ袋状に飛び出した状態のことで、憩室が多発する病気を「大腸憩室症」といいます。加齢により発症率が高くなり、比較的高齢者に多い病気です。また、食生活の欧米化や、食物繊維の摂取量の減少で、日本でも罹患率が高くなっています。

症状としては、暗赤色または鮮紅色の下血、下痢や便秘、血便などが挙げられます。出血は絶食すると自然に止血しますが、600ml以上の輸血が必要な重症の場合は、内視鏡治療を行います。合併症としては、うみがたまる膿症(のうしょう)形成や、腸管の穿孔(せんこう)などがあるので注意が必要です。

出血による疾患(しっかん)は、表の通り。大腸カメラによる鑑別が必要です。詳しくは、専門医に相談を。

【表】

頚出血を機に内視鏡検査を施行、診断された疾患の内訳
疾患名 症例数
痔・肛門疾患 141 23.1%
虚血性大腸炎 111 18.2%
進行がん 67 11.0%
腺腫・早期がん・ほかのポリープ(若年性) 44 7.2%
憩室症 26 4.3%
感染性腸炎 22 3.6%

*出血の症状がある「大腸憩室症」大腸粘膜の一部が袋状に飛び出す
*表データ:福岡大学筑紫病院消化器内科 1995年1月~2003年2月

「リビングくらしき(2016.3.26)」より