コラム

 

質問

2ヵ月前から軟便が続き、20日前から下痢になりました。感染性腸炎と診断されましたが、別の病院では大腸がんで人工肛門が必要と言われました。大腸がんの原因は便秘だけではなく、下痢の場合もあるのでしょうか。

回答

下痢が続くと大腸がんの可能性があります。大腸がんによる下痢は症状が進行していることが多いのです。

以前、相談者と同じような症状の患者さんがいました。この方は1日5、6回下痢になり、おなかがやや張っていました。 しかし、1年前に比べると体重が10㎏減っていました。

手術したところ、大腸が折れ曲がり、小腸を巻き込んで膀胱(ぼうこう)にまで癒着し、内腔がほぼ閉塞(へいそく)していました。 すべてのがんを取り、人工肛門をつくったのですが、腹水がたまり、がんがリンパ節にも転移していました。

大腸が狭くなると便が滞り、少しずつ便を出そうとするため、腸の運動が激しく起こります。 便秘は腸内にたまりますが、硬便周囲の腸液の分泌がこう進し、便汁が出て、あたかも下痢便のように感じられるのです。 下痢の原因は大腸がんをはじめ、サルモネラ菌、ノロウイルス、カンピロバクター、寄生虫のクリプトスポリジウムなどの感染性下痢、 潰瘍(かいよう)性大腸炎、クローン病などの炎症性下痢と多岐にわたります。
下痢を繰り返すようであれば、大腸の専門医に相談を。

*大腸がんによる下痢は症状が進行している場合が多い

「リビングくらしき(2015.11.28)」より