痔・鼠径ヘルニア治療

 

痔・鼠径ヘルニア治療とは

痔は年々増加しており、厚生労働省の平成26年患者調査(傷病分類編)では、核の患者数のみで10万人と推計しています。成人の3人に1人は「痔ぬし」とも言われています。手術をせずとも外来で治せる方がほとんどです。是非1度ご相談ください。また当院は、痔・鼠径ヘルニアの手術を専門的に行っております。

痔とは

痔の手術痔は虫歯のように、日本人にとって国民病といえます。
痔であることが恥ずかしいという気持ちはわかりますが、早めに治療を行えば、痔は完治する病気です。早めに適切な治療を行うことで、ストレスのない生活を取り戻しましょう。
痔の症状としては、次のようなものがあります。

  • 座ると肛門付近が痛い
  • 痛みはないが肛門付近に突起物がある
  • 残便感がある
  • 便が硬く、大便の際に痛む

当院では年間約1,000例以上の肛門疾患の手術を行っています。軽症の症例のみならず、重症症例、難治症例の方もいます。腰椎麻酔(下半身麻酔)による痛みのない手術や、術後排便の際の痛みの緩和、機能の温存を考慮した治療などに努めています。
また、下血に代表される肛門病変以外の疾患を見落とさないように、大腸検査(下部消化管内視鏡)もおすすめです。

痔の種類

痔とは、肛門の病気の総称で、主なものは「いぼができる(痔核)」「切れる(裂肛)」「膿(うみ)が出る(痔瘻)」の3つのタイプに分かれます。

痔核(いぼ痔)

肛門にいぼ状の腫れができた状態のことで、痔の中でも最も多いタイプです。
直腸と肛門の皮膚部分との境目である歯状線より上にできる内痔核と、歯状線より下の肛門上皮にできる外痔核があります。
 
痔核に対しては、肛門上皮を過不足なく温存することで肛門が狭くなる(肛門狭窄)を予防することを第一に考えた治療法を提供しております。
術式としては従来の結紮切除半閉鎖術式を基本とし、マックギブニー(ゴム輪結紮術)を行っております。また新しい薬での治療法として、硬化療法であるALTA療法(単独療法、併用療法など)を提供しております。これらの治療を肛門機能温存(狭窄予防)と根治性とを考慮しながら選択的に提案してまいります。
腰椎麻酔(下半身麻酔)により痛みのない手術を提供し、術後の痛みにも十分配慮して治療を行っております。

裂肛(れっこう:きれ痔)

歯状線より下にある肛門上皮が切れた状態のことです。痛みが強く、治りにくいため、悪化しやすいといわれています。また、きれ痔の他にさけ痔と呼ばれることもあります。
裂肛に対しては、肛門が狭くなっていないか(肛門狭窄の程度)を十分確認し、必要であれば肛門を拡張する手術(内肛門括約筋切開術を基本的に行いLSIS、SSGを併用)を行っています。基本的には手術の必要な方もそうではない方も、薬(柔便薬)を内服していただくことで、治療・再発予防を図ります。

痔瘻

細菌の感染によって肛門内が化膿(かのう)し、肛門の内と外がトンネルでつながったものです。痔瘻は他の痔と違って、生活習慣の見直しや、食生活の改善、治療薬を使っての治療法にはほとんど効果がなく、手術治療が第一選択となります。
痔瘻に対しては肛門に対する低侵襲かつ肛門機能温存を第一に考慮した術式を行っています。症例によってはシートン法も施行しています。

 

鼠径ヘルニアとは

ヘルニアの手術鼠径ヘルニアとは、「脱腸」と呼ばれており、鼠径部(太もももしくは、足のつけね)の筋膜の間から、小腸などの臓器が皮膚の下に出てくる病気です。
立ち上がった時やおなかに力を入れた時に、太ももの付け根付近が膨らんでいたら、鼠径ヘルニアの可能性があります。 

鼠径管のすき間から出る「外鼠径ヘルニア」、高齢者に多く、筋肉層のすき間から出る「内鼠径ヘルニア」、中年以上の女性に多く、鼠径管より下の大腿(だいたい)付近から出る「大腿ヘルニア」の3種類があります。

ヘルニアの手術

人工膜・ポリプロピレンメッシュを使う方法

腰椎麻酔による人工膜・ポリプロピレンメッシュを使う方法が一般的です。腹部の筋肉や筋膜を糸で縫い合わせる方法よりも再発率が低く、手術後の痛みも少ないクーゲルパッチ法が一般的となっています。
形状記憶のメッシュ(クーゲルパッチ)を筋膜の下に差し込む方法です。筋膜と腹膜の間に、メッシュが入る形となり、体内で元の形に戻って腹圧で固定されるため、縫い付ける必要もありません。
 
近年は腹腔鏡を使い、お腹の内側からヘルニアを治療する手術も行っています。
この治療はお腹の内側、いわゆる腹腔内より観察するため、ヘルニアの部位を確実に同定して修復することができますが、全身麻酔による手術となるため、耐術能の精査、全身麻酔可能か否かを十分見極める必要があります。
これらを十分考慮し、ご相談の上、患者様にとって最良な方法を提供してまいります。

人工膜・ポリプロピレンメッシュを使わない方法

従来通りの、ヘルニア門を縫い縮める方法です。加齢で弱くなった筋膜などを引き寄せて穴を縫い縮めると、患部が突っ張る感じが残ったり、重いものを持つなどして腹圧がかかると、縫った部分や周辺が裂けて再発することもあります。
しかしながら、比較的若年の方には人工物という異物を入れる方法の代替として、提案させていただいております。